極上イケオジCEOのいちゃあま溺愛教育 ~クールで一途な彼の甘い独占欲~【完結】

34.次のお仕事は肉体労働です!

「若いのにリーダーですか?」

「そう。私は今年で21歳。でも18歳でこの会社に入ったから社歴は3年あるの」

「……じゃあ、悠木リーダー?」

 そう敬称をつけると、悠木が満面の笑みを浮かべた。
 どうやら、その呼びかたが正解のようだ。

「それでいいわ。私、舐められたくないの。この会社の最年少リーダーだし、年上の部下だっているわ。でもね、私は実力でリーダーになったの。それなりに扱ってよ」

「はい。わかりました」

 はたから見たら生意気な発言と思うかもしれないが、ちひろは別のことを考えていた。

(すごい。21歳でチームリーダーだなんて。……自分からリーダーとして扱ってほしいと要求してくるとは思わなかったけど)

 以前勤めていた会社では、女性が役職につくことなどありえなかった。
 だから間違って入社した能力のある女性は、すぐに辞めていく。
 残るのは、出世したいとか役職が欲しいと思わない腰掛け気分の女性のみ。
 それと、特段何も気にしないちひろのような、お気楽者だけ。

(8割が女性という会社では、女性の出世が当たり前のことなんだ。それでも21歳でリーダーはすごいなあ)

 素直にそう感じたちひろは、ついそれを口に出して言ってしまった。

「すごいですね。若くてリーダーってことは能力を認められたってことですよね」

 悠木は満更でもないという顔で、口元を緩ませ、嬉しそうな顔を見せる。

「そうよ。いくつもヒット商品を出したんだから。さ、ミーティング始めるわよ。こっち」

 悠木の先導でミーティングルームに入る。

「おはよー」

「おはようございます。悠木リーダー」

「宿題、やってきたあ?」

「はーい、もちろんです」

 カジュアルチームは、みな若く見えた。
 悠木ほどではないが、20代ばかりだろうと推測する。

 悠木もほかの社員も、ミーティングの席でちひろにいろんなことを訊いてきた。
 ほとんどが雑談で、好きなミュージシャンとか、よく読む雑誌は何かとか、そんなどうでもいい話だ。

 つんけんしたところもないし、みな気さくにちひろと話してくれる。

「今日から一週間、よろしくお願いします。精一杯頑張りますので、よろしくご指導願います」

 ちひろがそう挨拶すると、みな拍手までしてくれた。

「じゃあ、早速お仕事お願いしよーかな」

「はいっ!」

(もしかしたら、このチームだったらうまくやれるかもしれない)


 ……と思ったら――


 蓋を開けたら、ハイブランドチームより苦戦した。


「このサンプル、青山にある出版社に持って行って」

「あ、はい。青山……の出版社……」

「中杢さん。明日撮影だから、下準備お願いするわ」

「下準備ですか? は、はい」

「これ、クリーニングに出してきて。今すぐ! お急ぎ特急便で仕上げて!」

「は、はいぃぃっ……!」

 次から次に用事を言いつけられ、目が回るくらいに忙しい。
 初日から一日中走り回ることになったので、翌日はパンプスではなくスニーカーで出勤することにした。
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