蒼き臨界のストルジア

.     ─世界は今日も残酷で美しく─

 

  どこまでも続く無窮(むきゅう)星々(ほしぼし)

  そこに僕を(しば)るものはない。


 海辺(うみべ)の波の音が、
 この世の苦悩(くのう)(すべ)てを溶かして(ただよ)っていた。


 僕は夜の浜辺(はまべ)で寝転び、
 潮騒(しおさい)の優しさに包まれながら、
 満天の星空を見上げ世界の中に溶けて行く。

 そこには僕を(しば)(すべ)てのものはなく、
 無限(むげん)に続く自由の空だけが広がっていた。

 無限に広がる宇宙の中に、
 僕をとりまく(すべ)ての事象(じしょう)は溶かされ、
 埋没(まいぼつ)し消えて行く。


 空に浮かぶ無数の(きら)めき。

 その中で一際(ひときわ)明るく輝き()()う、
 二つ星を見つける。

  僕が探していた星。

  (てて)星と、(かか)星。

 手を伸ばせば届きそうな位置で、
 僕がそう名づけた二つ星は()()(よう)に、
 静かに僕を見つめていた。


 両親は僕が13の時に死んだ。

  交通事故だ。

 それから僕は親戚中(しんせきじゅう)をたらい回しにされ、
 最終的に田舎(いなか)祖母(そぼ)に引き取られた。


  僕は現在14歳。


 僕がこの秘密の浜辺(はまべ)を見つけたのは、
 つい最近の事だ。

 何もない田舎の港町(みなとまち)唯一(ゆいいつ)僕が見つけた楽しみ。

 それが夜、この秘密の浜辺で寝転び、
 夜空を見上げる事だった。



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