蒼き臨界のストルジア
 
彼女は僕の表情を(うかが)いつぶやいた。


『日本人はおくゆかしい』


 いや彼女の中の日本文化って・・・


「じゃあ気やすくノジュールって呼ぶのはダメ?」


恐る恐る彼女の顔を(うかが)うと彼女は笑顔でこたえた。


『うんノジュールがいい』


自己紹介だけでここまで疲れたのは初めてだ。


「ところでノジュールちゃん」


フィナは僕を(にら)む。


「いやノジュール・・・ 」


彼女は笑顔で(うなづ)いた。


「話を戻すけどノジュール、
 僕にイルカの泣き真似(まね)、教えてくれる?」

『うん簡単』


そう言って彼女は口をすぼめ再び鳴いて見せた。


『ピュウ』


僕もそれを真似(まね)て出してみる。


「ぴゅう」

『ぴゅう違う、ピュウ 』


案外(あんがい)むずかしい。


「コツってあるの?」

『口を閉じて鼻からゆっくり息を出す。
 ピで上がって、ウで下がる』


僕は再び真似(まね)て見た。


「ピュウ」


そして彼女を見る。


『うん出来てる』


イルカ達もそれを真似る(よう)に、
「ピュゥピュゥ」と鳴いていた。


「イルカの言葉がわかったら楽しいだろうね」


ふっとそんな言葉をもらしていた。


『わかるよ』


彼女はさも当然の様にそうかえしていた。


「いや僕にはイルカの言葉わからないから・・・」


彼女は(ふたた)びつぶやく。


『わかるよ』


そう言って彼女はおもむろにポッドの中から
何かの機械を取り出した。


ゴーグル型の鉄の機器。

ケーブルの様な物で(つな)がれたそれを僕に差し出す。


『アクアボイジャー』


彼女はそう言ってそれを僕に手渡した。


「アクアボイジャー? て何?」


僕はそれを受け取り彼女の顔を(うかが)う。


『イルカと会話出来る機械だよ』


さも当然そうに彼女はとんでもない事を
口ばしていていた。

僕がその謎の機械を手に迷っていると、
彼女は再び囁いた。


『イルカと話したくないの?
 そのアクアボイジャーを頭につけて』


 
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