翠玉の監察医 日出づる国
「あなた方の目的は存じませんが、解剖の邪魔をしようとするのであれば、私は全力でそれを阻止します」

そう言い、蘭と男性たちの戦いはまた始まった。



数時間後、蘭はようやく法医学研究所に戻ることができた。

「久しぶりです。あんなに戦ったのは……」

蘭は歩きながら呟き、エメラルドのブローチに触れる。男性たちは思っていた以上にしぶとかったが、何とか追い払うことができたのだ。

「ただいま戻りました」

蘭がそう言い部屋に入ると、「蘭!大丈夫なの!?」とゼルダが駆け寄ってきた。圭介や碧子も心配げな目で蘭を観察する。

「私は無事です。彼らは……気を失っているだけですので致命者などは負っていません」

蘭は碧子の目を見て言う。碧子は「そう。よかった……」と蘭の頭にそっと触れた。その温もりに蘭は悪魔として見てしまうあの時のことを思い出しそうになる。それを遮ったのは桜木刑事だった。

「一体どんな奴だった?解剖を邪魔しようとするなんてよっぽどだぞ」
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