可愛くないから、キミがいい【完】




家に帰ってすぐに、パパの部屋にあるプロジェクターを持ち出して、自分の部屋に設置する。

それから、大切なものをしまう箱から、今まで何度も見てきた一番お気に入りの映画のDVDを取り出した。



カーテンを閉めて、薄暗闇をつくる。

ベッドの上で毛布にくるまって、映画が始まるのを待った。


初心忘れるべからず、みたいな感じだ。

私の教科書のような映画でもある。




『わたしが可愛いからこそ、この世界はまわっているのよ』と。そのセリフが聞きたくて仕方がなかった。

これを見れば、いつも心が弾むし、明日からも私は私のままで頑張ろうと思うことができるから。



ヒロインの悪だくみを隠すような完璧なほほえみが素敵。心が躍る。

どうやって極上のイケメンと付き合えるか計画をたてるシーンも大好きだ。

最高のプランを思いついたとき、ワンピースを身に纏って、くるりと回って見せるの。


どんな気分なんだろうって思う。

きっととてつもなく幸せなのだろう。

最後、極上のイケメンの腕に自分の腕を可愛く絡ませて、こっそり画面に向かってつくる片方の口角だけあげた笑顔が最強なのだ。


やっぱり、素敵だ。

もうセリフを覚えるほどに見ている。

何度見ても感動するし、あこがれてしまう。






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