可愛くないから、キミがいい【完】
好きになって欲しくない部分まで、いーなと思われてしまっている。それは、最悪だ。だけど、仕方ないのかもしれない。
それに、どうしてか、そのことに今、すごく安堵してしまっているのだった。
だけど、口からは「長いんですけど」なんて、また、文句が飛び出す。そうやって、文句ばかりが口をでていくのは、和泉しゅうへの甘えからくるものだと、なんとなく自覚しはじめていた。
いつの間にか、また泣いている。
これでは、本当に泣き虫だ。
「長くて悪かったな。でも、理由なんてあるようで、ねーのかもな。ふつうに、ただ、お前のこと、好きになっただけ」
和泉しゅうが、窮屈そうに背を屈めて、目線をあわせてくる。私の顔をのぞきこむようにして、少しだけ首をかしげてきた。
「今まで一回も告ったことがねーから、いまいち、分かってないけど」
「………ふぅん」
「あってんの? これ」
真剣にそんなことを聞いてくる。
馬鹿じゃないの、と思いながら、愛しさが溢れてしまって、無意識に和泉しゅうの頬に手を伸ばしてしまった。
だけど、途中で我に返り恥ずかしくなって、
触れる前に下ろす。
その手はすぐに和泉しゅうに捕まって、
指と指が、絡まった。