先生がいてくれるなら②【完】

だから、そう言う顔なんだって……お前のその表情が俺の理性を吹き飛ばすんだよ……。



「キス、したこと、ある?」



こんなこと聞いて、墓穴を掘る事になるかも知れないけど。


そう思っていると、ない、と言う返事が返ってきて、俺はほっと胸をなで下ろす。


あるなんて聞いたら、俺から尋ねておいてなんだけど、きっと嫉妬で狂ってしまうだろう。


嬉しくなって、思わず笑みがこぼれる。



そして、出来るだけ優しい声で──




「──キス、していい?」




そう囁く。


さっきよりも更に赤みの増した頬──


小さな声で「はい……」と返してくれる。



ありがとう。


俺なんかに、お前の初めてをくれて。



ゆっくりと顔を近づけると、立花が目をキュッと瞑る。


長いまつげが伏せられて。



俺は立花を怖がらせないように、ゆっくりと、優しく唇を重ねた。



唇を離すと、緊張で震える立花がゆっくりと目を開ける。


なにその色っぽい顔。


可愛すぎて、ちょっと無理。


そんな目で見つめられたら、もう一度、キスしたくなるだろ。




もう一度、




心の中で “愛してる” と呟いて、立花の唇に優しく重ねた────




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