先生がいてくれるなら②【完】

12月に入るとクリスマスの装飾が施されて、街はキラキラと輝き始める。


今年は私にとってもキラキラなクリスマスになりそうで、内心今からウキウキしていたりする。




「──もうすぐクリスマスだけど、何か希望ある?」



先生が私にそう尋ねたのは、12月入ってすぐのことだった。


「えっと。私は先生と過ごせればそれで良いので……」

「特に希望は無いってこと?」

「はい、まぁそうですね。先生もお仕事で忙しいでしょうし」

「ばーか。クリスマスまで仕事なんかしねぇよ」


えー、そうかなぁ。


……多分、午前中は学校行くんじゃないのかなぁ。


私は別にそれでも良い。


もちろん一日中ずっと一緒にいられるなら一番嬉しいけど、先生の仕事の邪魔をしてまで一緒にいたいと思うのは、自分の中ではちょっと違うって言うか……。



私は、なるべく先生の負担にならないような案はないかと考えたけど、特に良い案は浮かばなかった。


うーん、私はホントに一緒にいられるだけで良いんだけどなぁ。



でも先生の目は『何かないの?』という目をしていて……。


「──えっと、一緒に晩ご飯が食べたい、です」

「……それだけ?」

「え、それだけじゃダメですか?」

「……いや、いいけど……」


なぜか不満そうにする先生。


だって、どこかに一緒に出かけるのは見つかるリスクが高いもん。


ビクビクしながら外出するのも疲れちゃうだろうし。


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