先生がいてくれるなら②【完】

小児科病棟にある休憩室には入院中の子供達が集まっていて、みんな思い思いに、絵本を読んだり、おもちゃで遊んだりしている。


私は中に入り、床に放置されたままになっていた絵本を手に取ってパラパラとめくって読んでいると、小さな女の子が近寄ってきて、私の読んでいる絵本を覗き込んだ。


「おねえちゃん、ご本、読めるの?」


少し首を傾げて言うその仕草が、たまらなく可愛らしい。


私が「うん、読めるよ」と答えると、女の子はとても目をキラキラさせた。


「おねえちゃん、お願い、読んで!」


私の服の裾をひっぱりながら、読んで読んで、とせがむ。


「お姉ちゃん、あんまり上手じゃないよ? それでも良いかな?」

「うん、いい! 読んで読んで!」


きゅんっとなっちゃうほどの可愛さに負けて、私は絵本の最初のページを開いた──。


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