俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆
病院はオフィスビルから目と鼻の先にある複合タウン内にあり、セレブや芸能人御用達といった高級病院だ。

当然一花とは無縁の場所で、病院の入口がまるでホテルのようで、本当にここは病院だろうかと錯覚するほどに豪華な建物だった。

気後れしそうになるも、一花は向井の後に続く。

病院の奥へ入れば入るほど一花の心臓はぎゅうっと押し潰されそうになり、両手で胸の辺りを掴んだ。

受付で教えてもらった病室の前で向井がノックをし扉を開ける。一花は息が止まりそうなほどに苦しくなって唇を噛んだ。

「おう、悪かったな、政宗」

ホテル並みの豪華な病室はすべて個室であり、柳田はベッドではなく設えられたソファーに座り、入ってきた向井に向けて言った。

「元気そうでなによりだ」

いつもと変わらない柳田の姿に、向井もほっと胸を撫で下ろす。

「怪我は?」

「いや、特に。むち打ちくらいなってるかもしれんが、今のところ無症状だ。乗っていたタクシーが後続車に追突されて、運転手が骨折したくらいだな」

「そうか、それは気の毒だが、とにかく直己が無事でよかった」

そこでようやく、柳田は向井の後ろに隠れるようにして立っている一花に気付いた。
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