醜い私と綺麗な君
柴崎さんは優しい笑顔で……
『じゃあ、これからは友達としてよろしくな。』
『は、はい‼︎よろしくおねがいします!柴崎さん!』
さっきから私の頬は緩みっぱなしだ。
こんなすごい人とお友達になれるなんて嬉しくて涙が出そうになる。
しかし、喜んでいる私とは反対に柴崎さんは少し不機嫌な顔をしていた。
『…あのさ、友達になったんだしさん付けとか敬語とかなしな。』
『え…』
そんなことしていいのだろうか。
ただでさえ醜い私が、こんな素晴らしい人のことさん付けしないなんて…おまけに敬語なしなんて…
『そ、そんなおこがましいことしていいんですか?』
申し訳ない気分になっちゃうから、許可だけは取っておかないと!
『そうじゃなきゃ俺が嫌なんだ。壁を感じて寂しいというか……』
そう言ってシュンとしてしまった柴崎さん。
なんだかその姿が子犬っぽくて可愛い。
『わかった!えっと…柴崎くん?でいいのかな⁇』
『優磨。』
『え? 』
『俺の名前。苗字じゃない方がいい。』
な、なるほど。
たしかに、友達ってあんまり苗字で呼んだことないかも。
じゃあ……
『優磨くん?』
『っ……。』
さすがに呼び捨てとかはできないしさん付けじゃないとするとこれしかないよね。
私が柴……優磨くんの名前を呼ぶなんて本当に夢みたい。
しかし、優磨くんは黙ってしまった。
私何か悪いことしたかなと思って顔色を伺うと、優磨くんはほっぺを少し赤らめて、片手で口元を隠していた。
ど、どうしたんだろう。
『…うん。それで…いいよ。』
そう言うと、そっぽを向いてしまった。
本当に大丈夫かなぁ⁇
でも、優磨くんは少し嬉しそうな顔をしてい
るように見える?
まぁ、満足そうだしいいかなぁ。
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