身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
私ははっとして、まだ自分の指に嵌められたままのマリッジリングを抜き取った。

そうして高須賀さまに笑顔で差し出す。

「これ、お返ししますね」

「……あ、ああ」

高須賀さまはなぜか意表を突かれたような顔をした。

私は構わず彼に指輪を返却すると、勢いよくお辞儀する。

「本日はお疲れさまでした。では、私はこれで失礼いたします」

すぐに事務所に戻り、予約のお客さまの打ち合わせ準備をしなければいけなかった。

立ち尽くす高須賀さまをブライズルームに残し、私は早足にその場をあとにした。

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