身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
私はすぐにバンケットリーダーの栗本さんに、シャンパンゴールドのクロスが用意できるか確認した。松浦さまの結婚披露宴のゲストは百二十人、卓数は二十卓だ。

『シャンパンゴールドのクロスを二十枚、ご用意は可能です。でもバンケットのスタッフはすでにみんな退勤していて私しか残っていないので、セッティングが難しいです』

栗本さんの返事の後半は、私が想定していた通りだった。

けれどクロスの用意ができるなら、私にはやらない選択肢はない。

ためらうことなく私は松浦さまに了承の連絡を入れ、バンケット会場に向かった。テーブルセッティングは手伝う程度しか経験がないけれどできないわけじゃない。私ひとりでもやりきるつもりだったけれど、栗本さんは快く手伝ってくれた。巻き込んでしまって申し訳ないと思いつつ、私は彼女に深く感謝する。

おかげで無事セッティングが完了し、私も彼女も今日中に家に帰ることができた。電車なら日を跨いていたかもしれないけれど、山岡さんに彼女も自宅まで送ってもらったのだ。今日はみんなに助けてもらった一日だった。明日の松浦さまの結婚式がさらに楽しみになる。
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