オオカミ社長の求愛から逃げられません!


奥から50~60代風の男性が二人。その隣には女性がそれぞれ座っていて、さらには着物を着た私と同じ年くらいの女性が下座にいる。

「遅かったじゃないか。何をして……って、誰だその薄汚い店員は」

奥に座る男性の声に、全員が一斉にこっちを見る。その迫力に、思わず後ずさった。そんな私に八神社長が「隣にいるだけでいいから」とこそっと耳打ちした。

隣にいるだけでいいって……! どういうことか説明してよ……。

「親父、西園寺家の皆様、今日はせっかくお越しいただいましたが、やはりこのお見合い、お受けできかねます」

お、お見合い!? 今お見合いって言った? ここはもしかして、お見合い会場だったの?

「お前、今さら何を言うんだ!」
「俺はこの子と結婚します」

え? は? この子って私のこと?


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