ぜんぶ欲しくてたまらない。
嫌いにならないでほしい。[航大side]


こんなことなら俊介からの誘いを意地でも断ってお祭りなんか来なかったのに。



「航大くんとまたお祭りに来れたの嬉しいなーっ」



さっきまで俺は俊介と芽依と岩佐さんの4人でお祭りに来ていたはずだ。


それなのに今隣には梨里愛がいる。


梨里愛に出会ったのは2年前──中2の春。


親の都合で転校した先の中学校。


転入したクラスで一際目立っていたのが梨里愛だった。



「ねぇ航大くん、聞いてる?」


「……ん」


「絶対聞いてなかったでしょ!もう、せっかく航大くんと2人きりになれたのにぃ」



プクッと頬を膨らませて俺を覗き込んでくる梨里愛。


可愛こぶっているんだろうけど、俺には何も響かない。


確かに梨里愛は一般的に可愛い部類なんだろう。


噂でも彼氏が途絶えたことはないと聞いたことがある。


この馴れ馴れしい性格も理由のひとつかもしれないけれど。


ただ、俺は梨里愛のことが好きではない。


近くにいるから一緒にいただけ。


この街に戻ってきてもう会うことはないと思っていたのに。


まさか、こんなことになるなんて。




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