転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「妻とは、世間一般的な交際期間はない。今年の1月に見合いをして、初めて会ったからな」
「は? ……はああああ~~??!」


 そうして春人は、自らが結婚するに至った経緯をここで初めて仁へと説明したのだった。

 ひと通りの話を聞いた仁は、ぐったりと背もたれに寄りかかりながらもはや呆れ顔である。


「無理やり連れていかれたお見合いの席で相手の女性に一目惚れして、外堀埋めて強引に話進めて、2ヶ月半後には入籍? ……おまえ、変なところで行動力あるよな」
「仁ほどじゃない」
「一緒にすんなよ。引いてんだよ俺はおまえの執着心に」


 妙な部分で察しの悪い友人にため息をつき、後ろに体重をかけたまま両腕を組んだ。


「まあでも、今の話で納得がいった。ここしばらくは全然女の影なんてなかったのに、いきなりハルが結婚なんて言い出した理由……つーか言えよ、そういうことは! その都度!」
「おまえに言えば『会わせろ』という流れになるだろ。だからまあ、最低限の報告で済まそうかと」
「どんだけ独占欲強いんだよ! っていっても、もうここまで話したんだからいいだろ。奥方の写真とかないのか? あ、つーか俺名前すら聞いてねぇ!」


 思いつくまま一度に話す仁を前に、春人が若干面倒くさそうな顔をして吐息をこぼす。

 けれど諦めたのか、チノパンのポケットからスマホを取り出して操作し始めた。


「奥方何歳? 籍入れてからも仕事はしてんの?」
「歳は俺たちより4つ下。小学校の養護教諭をしている」
「え、保健室のセンセーってやつ? うわーなんかエッロ……」


 顔は上げないまま視線だけでギロ、と鋭く睨まれ、ようやく仁は口をつぐんだ。
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