夜には約束のキスをして

「言えるわけないだろう。情が深くなったから、少し間があいても大丈夫になったなんて言ったら…………私の気持ちが、あからさまに和真に知れてしまうじゃないか…………」

 後半はささやくように、照れを含む声で告げられた内容は、本人は意図していないにしても、凶悪な可愛さだった。すでに文也から聞かされていたとはいえ、本人からほのめかされるのは、やはり違う。

「分からないよ」

 深青の首筋に顔を埋め、頬ずりをしながら、柔らかな髪を撫でた。

「俺も深青と同じ気持ちだから。俺の情が深くなったからなんだなって、納得したと思う。深青の気持ちなんて、分からない」

 深青の身体が、腕の中で強く張りつめた。

「な、んだ……それは…………」

 深青の顔にすり寄せていた和真の頬に、深青の手がかかって、視線が絡むように持ち上げられた。

「てっきり、お前は、義務感や同情から、私のもとに通ってきてくれているものとばかり……!」
「ああ……」
「言えるわけないだろう……必要だからキスするだけの相手に、好意など向けられたって…………困らせるだけだ……」
「…………そうだな……」
< 48 / 50 >

この作品をシェア

pagetop