その熱、受け止めて〜℃〜
うちは両親がとても仲がよくて、それは子供ながらに常に感じていた事だった。


特にお父さんはいつだってお母さんのことを大事にしていてーーー


「私もママと同じの飲みたいっ。ねぇ、ママ、少しだけちょうだい?」


「しぃちゃん、これはね、お酒なの。しぃちゃんまだ、小学二年生でしょ?だからおっきくなったらね。」


「おっきくなったらって何歳?」


「二十歳。二十歳になったらしぃちゃんも飲めるようになるわよ。」


「えー、そんなに待てない。それに志織はこれがいい。ママのお誕生日のワイン。」


「志織、これはね、ママがこの世に生まれてきてくれたこと。それがパパは凄く嬉しくて、だからママの誕生日にはこうして家族でレストランへ来て、そしてママの生まれた年に作られたワインを頼むんだ。わかるかい?」


「うーん、よくわからない。」


「そっか。少し難しいかな。だけど、ママがこの世に生まれてこなければパパのお嫁さんにもなってないし、そして、君たちのような可愛い二人の子供にも恵まれていない。だからパパは祝いたいんだ。ありがとうの気持ちを込めてね。」


そう言って笑いながらママを見つめるパパの目はいつもより少し格好いい。


なんだか、面白くない。


「それでもやっぱり飲みたい!」


すると、


「レディ、今日は特別ですよ。」


と、格好良く蝶ネクタイを締めたレストランの人がママのより少し色の薄いワインを目の前に置いてくれた。


「これ…」


「こちらはお母様のとは少し違っておりますが、今のレディに相応しいのもをわたくしが選んで参りました。飲んで頂くとお口の中でキラキラがパチパチと弾けますよ。さぁ、レディ、どうぞ。」


細くなっているガラスの部分を恐る恐る持ってよく見てみると、


薄いピンク色した飲み物はとてもキラキラしていていくつもの宝石が中に入っているんじゃないかと思うくらいだった。


そしてーーー


「いいの?」って目でパパとママを見るとうんって頷いてくれたからゴクリと一口飲んでみた。


蝶ネクタイの人が言ったみたいにキラキラが口の中でパチパチと弾けた。


「うわぁ、美味しい…」


あまりの美味しさに残りもゴクゴクと全部飲んでしまった。


だけど直ぐにお酒を飲んじゃったんだって事に急に不安になってしまって、目の前がクラクラしてきた。


頭も段々ぼーっとしてきて眠くなってきて…


眠ってしまう瞬間、聞こえた気がした。


「おや、レディは随分、酔いやすいようですね。」










ーーーーーお出ししたのはただの葡萄ジュースを炭酸で割ったものなんですけどね


























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