お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
俺は執事の平野から過去のことは誰にも話さないようにと、釘をさされていた。

「あっ、た、たまに食ってた」

「そうなんですか」

みくるは納得していない様子だった。

「社長は庶民的な食べ物がお好きですよね、食事を作る際に助かります、フォアグラとかキャビアなんてどう料理したらいいかわかりませんから」

「俺だってそんなの食ったことねえし」

みくるは「えっ?」と目を丸くした。

しまった、また余計な事言っちまった。

「あっ、あんまり好きじゃないんだ」

みくるはじっと俺を見ていた。

次の瞬間、みくるは口を押さえてwash roomに駆け込んだ。

「みくる、大丈夫か」

「すみません、大丈夫です」

みくるはwash roomから出てきた。

「つわりは大変なんだな」

「本当ですね」

「みくるは何も食べなくていいのか、コンビニでなんか買って来るか」

「大丈夫です、あのう、社長といると緊張せずに過ごせます、上流階級の方って感じがしなくて」

俺は心の中で叫んだ。
俺は上流階級の生まれでも、育ちでもない。
みくると同じ一般庶民だ。




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