昨日、失恋した

「ソバカス付き、メガネ女子なんか好きになんかなるはずないじゃ無いか!」
「ソバカス付き、メガネ女子なんか好きになんかなるはずないじゃ無いか!」
「ソバカス付き、メガネ女子なんか好きになんかなるはずないじゃ無いか!」

 ―――

 私は、急いで教室を出た。もう何も考えられなかった。心臓がバクバクするのが分かる。とにかく一人になりたかった。そして私は階段に足をかけた……。
 
「おーい、君! 屋上はこの前の事故で施錠されてるから行けないよ」

 遠くから誰かの声が聞こえて来た――そうか、あの子の事故があってから屋上には出られないんだった。私はきびすを返してお手洗いに向かった。そしてお昼休みが終わるまで個室の中で泣き続けた。

 お昼休みが終わってからも、気分がすぐれなかった。午後一番の授業は先生にお願いして途中から教室を出て保健室のベッドで横になった。ベッドでも涙が出て止まらなかった。

 保健室の女の先生は、ベッドの中でひたすら泣いている私に理由を尋ねることもなく、暖かいミルクティーとビスケットを出しながらこう言った。
「ミルクティーとビスケットの件は内緒にしてね。学校にバレるとうるさいのよね」

「飲み終わったら、空のカップはベッドの横のテーブルに置いておいてくれればいいからね」
 さらに続けて優しい声で話しかけてくれた。

「落ち着くまでベッドで寝てて良いからね。見えないようにカーテン閉めとくね」
 そういうと、ベッドを覆うカーテンを閉めてから戻って行ったようだ。

 ミルクティーは本当に美味しかった。わたしの心のキズに深く染み込んで来るように感じた。傷口に『染みる』のだから、きっと私の心のキズを癒してくれているのだ、と思いたかった。

 保健室の女の先生の配慮で、結局私は体調不良で午後は早退という事になった。クラス担任の先生も、心配してくださったようだが、泣き腫らした私の顔を見せる訳には行かないので、そのまま保健室から直接家に帰る事にした。
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