Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
第3章 ときめき? とまどい? ルームシェア
 4日後の水曜日。

 スーツケースに必要最低限の荷物をつめて、わたしはベリーヒルズビレッジを訪れていた。

 オートロックの画面を操作し、応答を待つあいだ、心臓が早鐘を打ち出す。

「仕事を受けます」と返事をしてから4日間、ずっとそわそわして落ち着かなかった。

 芹澤さんの期待に応えられるだろうか。
 その不安はまだ心の片隅でくすぶっている。

 それに加えて、新たな不安も。

 だって、よく考えたらギャラは法外。働く場所は密室。
 映画やドラマなら、100%の確立で事件が起きるシチュエーション。
 おいしい話には、たいてい裏があるものだし……

 第一印象の芹澤さんは、とても紳士的で善良な人だった。

 でも、別人みたいに豹変して、冷たくあしらわれたり、酷い扱いを受ける可能性だって、ゼロではない。
 どうか、そんなことになりませんように……
 とりあえず用心のために、スマホはすぐ取りだせるところに入れておこう。

 緊張がピークに達したとき、「どうぞ」と返答があり、ドアが開錠された。

 さらに心拍数が跳ねあがる。

 スポンジの上を歩いているような頼りない気持ちで、レジデンスに足を踏み入れた。
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