黙って一緒に堕ちてろよ
◆︎
「そんな人だとは思わなかった!」
──バッチーン!
甲高い怒声と一緒に、乾いたビンタの音が響き渡る。
青筋を立てている女の子と向かい合っているのは、……古茶くんだ。なにしてんだあいつ。
これはもしや、と思う。俗にいう修羅場ってやつでは?まさか遭遇してしまうとは。運が悪い。めんど。
私はさっさと帰りたいのに、校門を通るためには、あの横を通らなければならないのだ。
正門は混むからと、裏門を選んだのが仇となった。学生の本業は勉強でしょうが。色恋にうつつを抜かしてんじゃないよ。
いや別にそんなことはどうでもいいんだけどとりあえず早よ終われ。邪魔だっつーの!