黙って一緒に堕ちてろよ

「……積極的〜」


「黙れ」


「むぐ」


ひゅう、と口笛を吹いて茶化してくる古茶くん。絶妙にいらついたので、その口を両手でふさいだ。


空き教室にふたりきり、なんて少女漫画チックなシチュエーションでも、私は少女漫画のヒロインではないので点描も花もほわほわトーンも一切飛ばない。


それに、相手がこいつじゃ、おいしい展開とも思わないし。むしろヤダ。私だって相手は選びたい。


……まぁ、それは古茶くんとておんなじだろうけど。私が男だったら、私みたいな女なんてまず選ばない。本性を知っているなら、なおさら。


こんな状況を長引かせるのは本意ではないから、さっさと通りすぎてほしい。そんな私の願いとは裏腹に、きゃはは、と癇に障る笑い声が廊下に響く。


女子ってうわさ好きだし、女子に限らず人間みんなうわさ好きだと思う。私も例にもれずそうだけれど、自分のいないところで好き勝手言われるのは好きじゃない。
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