君が呼ぶから帰ってきたよ
康太は大津くんの顔を見てまた手に持つスケジュールの書かれた紙に視線を戻した。


そして


「勝手に親友にするな。」


と言ってその場を離れた。


大津くんはそう言われても素直じゃねぇなーと言い笑顔を崩さず離れる康太の後ろ姿を見ていた。


多分、大津くんにはバレてるんだろう。


康太の耳が少し赤くなっていること。


康太は照れると耳が赤くなる。


つまり、今の大津くんの言葉に照れたってことで私は少し素直な康太が見れて嬉しくなった。


リレー練習は走る順番を変えてみたり、バトン渡しの練習してみたり…


以前、私が日陰から見ていた光景が目の前にあった。


前は遠くから見てたけど今はすぐ近くで見れる。


みんなこんなに真剣な顔してたんだなあ。


それは康太も一緒で、あんなにやる気無しだったのに練習になるとちゃんとしてるんだよね…


やっぱり康太は今でも体育祭が好きなんだね。


その時私の目に1人の女の子が目にとまる。


クラスメイトの黒川沙耶(くろかわさや)ちゃんだ。


"上品"という言葉が当てはまる女の子で可愛くて男子に人気のある女の子のひとりだ。


なんか…足をかばってる?
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