溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
お見合いの日にも目にした同作家の作品に出会えて胸が熱くなり、自然と口元が緩む。


「お待たせしました」


運ばれて来たミルクティーも濃過ぎず薄過ぎず私好みの味で今日も良いことが起きる気がした。

というより良いことが起きてくれないと困る。


『こっちに来てくれ。航空券を手配するから。気になって仕事にならない』


湊さんに送った【お仕事お疲れ様です。ちゃんと食事と休息は取れていますか?お仕事終わり次第、早く帰ってきてくださいね。レジデンスで待っています】に対する返事だ。

一瞬、メールでさえ仕事の邪魔になってしまったのだと思った。

航空券の手配だけで宿泊先については記載がなかったし。

でも、湊さんは別れ話をするために呼んだのではないと信じて、届いた航空券と滞在するホテルの住所を頼りに異国の地までやって来た。

正直、不安は拭い切れていない。

だから鎮静作用の効果が高い紅茶を頼み、気持ちを和らげることに専念したのだけれど、一杯飲み切ってもその効果は感じられず。

ハーブティーがあるか聞いてみようとスタッフの姿を探した時、入口に目を惹く長身の男性の姿を見つけた。

離れていた時間はたったの三日なのに、顔を見ただけで胸が締め付けられるほど愛おしさがこみあげてくる。

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