勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
女学院の最寄り駅の改札に着くと



パーカーのポケットに手をつっこんで、壁に寄りかかる。




まだ人の流れもまばらで、女学院生の姿は見当たらない。




ホっとしたところで



見慣れた制服が目の前を通った。




灰色のブレザーにブルーのネクタイ。



うちの付属高校の制服だ。




静かな改札でそいつらの賑やかな声が聞こえてくる。




「なあ、ここで待ってたらホントに来るのかよ」




「間違えない、この前もここで見かけたから」




「で、誰が声かける?」




「3人で声かけたら、たぶん逃げられるだろ?」




「でも、驚いた顔もちょっと見てみたいよな」




女学院生の待ち伏せ? 



暇な奴らだな。って、俺もか。




「けど、一歩間違えば女学院の先生につかまって、



うちの高校に通報されるらしいから」




「まじか」




「そりゃそうだよ、超お嬢様学校なんだから」




「それにしても可愛いよな、西園寺さん」




「せめて連絡先だけでも分かればなあ」




……は?




まさか、彩梅のことを待ち伏せ?




琉人から聞いた話が、頭のなかで繰り返される。




ふざけんな。



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