勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
帰りのHRを終えると、



いつものようにみんなと一緒に駅に向かう。



最寄り駅で降りて改札を抜けると、名前を呼ばれた。




んん?




きょろきょろとあたりを見回して、目をぱちくりさせる。




……あれ?




少し離れた場所で車に寄りかかり、



キラキラと柔らかな笑顔を浮かべているのは、九条さん……⁈




で、でも、どうしてこんな場所に九条さんが⁈




驚きすぎて、



じっと九条さんを見つめて立ち尽くす。




すらっと背が高くて、ばつぐんに整った顔立ちの九条さんは



ものすごく爽やかで眩しいほどに煌めいていて。




いくらなんでも、目立ちすぎです!



緊張しちゃって近づけないよ……




「彩梅、こっち」




もう一度、名前を呼ばれてドキリっ!




視線を落としたまま、おずおずと近づいていく。




突然あらわれた九条さんに、脈拍は急上昇するし、



心臓は飛び跳ねているし、



頭のなかはパニック状態!




「あ、あの、……どうして、こんなところに?」





「彩梅のこと迎えに行けって、じじい達からの命令」





「……おじいちゃんからの命令?」





「いいから、乗って」





「あの……?」





「ふたりで食事してこい、だと。勝手に店に予約を入れたらしい」





ええっ!





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