勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「足、速いねえ。コタロウくん、いい子だねえ」




コタロウくんを撫でていると、



九条さんもコタロウくんの隣にかがんで、



柔らかく目じりを下げる。




「良かったな、コタロウ。彩梅に可愛がってもらって」




「それなら、九条さんも、いーこいーこっ!」




ふざけて九条さんの頭をなでると、



九条さんにぐぐっと手首をつかまれた。





コタロウくんを挟んで見つめあい、



九条さんの綺麗な瞳に息をのむ。





「キスでもしておく?」





……え?





九条さんの長いまつげにオレンジ色の光がきらりと弾む。





「俺で練習、するんだろ?」





「……で、でで、でも、そ、それは」





震える声で答えると、九条さんがぶはっと吹き出した。




「くくっ、冗談に決まってるだろ! 



バカだな、ホント。なんでもかんでも信じるなよ」





ううっ、ひどい。





ドキドキしすぎて、心臓は破裂寸前!





経験値の差、もっと考慮してほしいです……




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