勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「え?」




「時間、もう少し大丈夫?」




「はい!」




「じゃ、彩梅は自宅に連絡して。



彩梅のお父さんには俺から連絡しておく」




「九条さん、うちのお父さんと連絡取ってるんですか⁈」




「そりゃそうだろ。じゃなきゃ、こんな時間まで一緒にいられない」




こういうとき、やっぱり九条さんは大人だと思う。




「どこか行きたいところ、あるか? 



どうせなら、彩梅が行きたいところのほうが楽しいだろ」




「どんなところでも、きっとすごく楽しいです!」




「それじゃ、俺がよく行く場所でいい?」




「はい!」




嬉しくて満面の笑顔で応えると、


九条さんが頬を緩める。




「どうしたんですか?」




「いや、彩梅って思ってること、全部顔に書いてあるなーと思って」




「え! うそ!」




慌てておでこをごしごしとこすると。




「べつに、そこにペンで書いてあるわけじゃないだろ」




「……ですよね」




九条さんと笑い合いながら、もう嬉しくてたまらない。




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