時には風になって、花になって。




小さな両手を使って、サヤは表現して見せた。



「7つ…所詮はまだ小童か」



鬼の自分には人間のことなど分からない。

だが大人でないことはわかる。
親の温もりを求める小さな命だ。


だからこそ、私を親だと勘違いしているのではないかとも紅覇は思った。

そうだとしたならば厄介だ。



ぎゅるるるるるるーーーー…



静かな夜に響いた音。

少女は自分のお腹を押さえながら、チラッと鬼妖怪の青年を見つめた。



「そうか、昨日魚を食わせただけだったな」



人間というのはどれくらいの頻度で腹が空くのか。

この歳の小娘はどれくらいの量を必要とするのか。


何ひとつわからない男にとっては分かりやすい合図だ。



「待っていろ」



この時間に1人で狩りへと出させれば簡単に猪にでも喰われてしまうだろう。

火の近くに居させれば動物は寄っては来まい。



「サヤ、これで3日は持つか」



頬に付着した血は狩った狼のもの。

鷲掴んで焚き火へと戻れば、スウスウと静かな寝息が聞こえる。



「…着物も新しくすべきか」



青年は呟いた。



< 9 / 180 >

この作品をシェア

pagetop