Ritratto〜変わってしまった君へ〜
幼なじみだったルカが死んだ。死因は自殺。自室で首を吊って死んでいたらしい。

「ただいま」

葬儀に出席していたため、遅くなってしまった。何十億もする豪邸に帰ると夜中近くだというのにまだ明かりがついている。そして、私がドアを開けるとパジャマにもう着替えた婚約者のジュリアーノがいた。

「カタリーナ、お帰り」

「ジュリアーノ、まだ起きていたの?」

驚く私をジュリアーノは抱き締める。チュッと音がして頭にキスを落とされているとわかった。

「カタリーナは優しいね。あんな奴の葬儀に出席するだなんて……」

ジュリアーノにそう言われ、私は何を言えばいいのかわからなくなる。少し前の私ならば笑って「そうね」と返していたのかもしれない。

「ジュリアーノ、私はお風呂に入るわ。あなたは先に寝ていてちょうだい」

「わかった。おやすみ」

軽いキスを交わし、ジュリアーノは寝室がある二階へと階段を登っていく。私も早くお風呂に入ろうとお風呂場へと向かった。葬儀用の黒いドレスを脱ぎ、猫足のバスタブに浸かる。
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