メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「それでね、とにかく作品を見てもらうことを重視して、お店っぽくしたくないの。おもちゃ屋さんにあるおもちゃで自由に遊べるコーナーみたいな感じで、並べる作品数も少なくして。」

「うん。」

「私達がいたらお客さんが『買わなくちゃいけなくなりそう。』って思っちゃって作品をゆっくり見られなくなっちゃうから、目立たないように、でも何か聞きたい時にはすぐに聞けるようにして・・・それから、パンフレットの他にタブレットで制作過程やお店にない他の作品が見られるようにするのはどうかな?」

私が通っている大学の学食は安くて量が多くて美味しいとテレビやネットて紹介されたりしているので、そこでランチをした後の近所の奥様達が中庭のベンチでおしゃべりしたりしているのは、もはや日常風景だ。

キャンパスは都心にあるのに緑が多く池もあったりして居心地が良かった。特に今日みたいな秋晴れの日は行楽に来たのではないかと思ってしまうくらいだ。

大学の図書館は入り口の機械に学生証を通すか学生以外は受付で名前を書かないと入れない。けれどその上にある屋上は誰でも自由に入れる。私と暖人は学食でランチをしてからその屋上に来てベンチに並んで座り、タブレットを見ながらイベントのことを話し合っていた。


「お前さ、卒業したら就職すんの?それとも大学院に進むのか?」

打ち合わせを一通り終えるといつの間にか数時間が経っていて、喉がカラカラだった。ペットボトルのレモネードを飲む私に暖人が缶コーヒーを飲みながら聞いてくる。
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