メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
白く塗られた木で出来た広いテラスには大きな長方形のテーブルと、それを取り囲むように壁際にベンチがある。

海はキラキラと光っていて、一日の始まりを喜んでいるようだ。昼の海は俺には眩し過ぎるけれど、朝の海なら大丈夫だな。いや、昼の海も杏花と一緒ならいけるかもしれない。そんなことを思って波の音を聞く。

あいつは昨日、俺と(ヽヽ)花火がしたかった、とか、俺と(ヽヽ)同じことを考えていて嬉しい、と言っていた。もしそれを皆に言っているのではなく俺にだけ特別に言ったのだとしたら・・・?

いや、あいつは人との間に壁がないやつだから、あれくらいのことは誰にでも言いそうだ。それにもし俺だから言ってくれたとしても、恋愛に興味がないと言っていたから、友人として好意を持ってくれた、というだけだ。

そう考えるとあまりに辛い。ああ、恋愛というのはこんなにも熱くて苦しいものだったのか。

今まで恋愛で悩んだことなんてなく、相手がいてものらりくらりとした付き合いをしていた。杏花が自身の恋愛経験を『趣味のうちのひとつ、みたいな感覚』と言っていたけれど、俺も同じだった。

でも、今俺の中にある想いは今まで俺の心の中に出現したことのない新参者だ。どう扱ったらいいのか全くわからない。取り扱い説明書がほしい。適切に取り扱わないとすぐにでも暴走してしまいそうだ。

そもそも俺はこの気持ちをこのまま抱えていていいのだろうか。俺は時計で生きていくと決めたのだし、例え彼女と結ばれることがあったとしてもまた中途半端な付き合い方をして傷つけてしまうかもしれない。

頭ではそんなことを考えていても、俺の恋心はもう手放すことが出来ないくらいに心の奥深くまで根を張っていた。
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