あざといきみの誘惑は
無機質すぎる瞳が向けられる。
幹部たちが勢揃いした部屋。目の前には総長。
逃げ延びる術なんてどこにもない。
詰み。圧倒的な、敗北。
信じられていると思っていた。自惚れていた。
だから、いつも通りここに入ってきた瞬間、蹴られたのには驚いた。
ここに集まっている4人全員が化け物並みのチカラを持っている。勝てるわけない。
それを理解していたから、細心の注意を払って彼らに接していたハズなのに。なんで。
……ああ、くそっ、しくじった。
「……ねえ、なんか言ったらどう?」
彼、青羽世津、もとい総長は、この中でいちばん口調が穏やか。
だけど、起伏のない声と一ミリも動かない表情、そのふたつと言葉が合っていない。
目を細められる。
と同じく、髪の毛を掴む手も強まって、顔を歪ませてしまう。
……すると、青羽の腕に、ぽんと宥めるように誰かの手が乗った。