長い梅雨が明けた日

「消毒しますね」

いちいち言葉をかける後輩の言葉に申し訳なくなった私はタオルを当てたままで顔を上げた。

タオルから目だけ出して手当てしてくれる女の子を見ながら声をかけた。


「手当てさせちゃってごめん。適当で大丈夫だから早く男子部の方に戻っていいよ」

「い、いえ平気です。今は男子部より白井先輩のが大事ですからっ!」

私に話しかけられた事に驚いたのか、目を見開いて一瞬手を止めた彼女が慌てて返事をした。

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