長い梅雨が明けた日

悲鳴をあげる心




やっぱり寝られない。


「優弥…」


声を出して名前を呼ぶ。

幼馴染みの優弥。


そう思った今も自然と"幼馴染み"なんだ

まるで獲物を狙うように見つめられた本気の優弥に告白された


キスをされたのに嫌ではなかった


でもそれは私の中で、優弥を異性として見ていないから

可愛がってるペットにキスするような感じ?

赤ちゃんにキスするような感じ?


優弥にキスされた時に泣いたのは…

多分、"謝罪"の涙


気付かなくてごめん

異性として見れなくてごめん


なんとなくそんな感じがする


なのに、すぐにそう言わなかったのは
優弥が泣くと思ったからかもしれない


もしかしたら優弥も気付いてるのかな

だからあんなに辛そうな表情だったのかな


告白したくせに、
『俺以外の男を選んでも』
なんて言ったよね


もしかしたら優弥は私の気持ちに気付いていたのかな?

私が河野を好きなことをーー

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