長い梅雨が明けた日

そんな豊永から離れると、優弥が腕を掴んだままこっそりと耳打ちしてきた。

「…お前、少し熱があるんじゃないか?」

その囁きに思わず普通音量で返事した。

「え?本当?…気付かなかった」

昨日の雨のせいか?と少し考え込む。

「今日は大人しくしとけよ」

「うん。わかった」


昔から優弥は私の体調変化に鋭い。

幼い頃はいつも手を繋いでいたせいなのか、私の体温を覚えているらしい。

優弥がこう言うと必ず熱が上がってくるという経験から私は素直に頷いた。


「じゃあな。また昼休みに診に来るわ」


優弥と河野はそう言って隣のクラスに帰って行った。

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