御曹司の恋の行方~和菓子王子編~
取材を受けるにあたり、本日の営業は18時までにしていた。

閉店作業と並行して、実演スペースにはテレビカメラなどテレビ中継の準備が進む。

スタジオの日比谷アナウンサーと対話形式で取材を受けるのだ。

事前に質問内容と答える内容は確認している。質問に答えながら、練り切りを作るのだ。

18時20分、最新ニュースなどが終わり、今話題の物や技術等を紹介するコーナーに入った。

「では、今日は和菓子の世界の一流の技術をご紹介したいと思います。中継先の長谷屋ベリーヒルズ店には若旦那である長谷夕輝さんがいらっしゃいます。長谷さん」

「はい。初めまして。長谷夕輝と申します」

「日比谷です。本日はよろしくお願いいたします」

「こちらこそ」

「本日は、少しお話を聞かせていただいた後、練り切りを実際に作っていただく事になっております。早速ですが、長谷さんにとって和菓子とはどう言う存在でしょうか?」

「そうですね。私にとっては幼い頃から身近にあって慣れ親しんだ存在ですね。皆様にも日本の伝統ある和菓子を、知っていただき見て楽しみ、更に味わって喜んでもらえる存在にしていきたいと思っております」

「なるほど。和菓子は奥が深いんですね」

「そうですね。季節や気温、湿度によっても繊細に変わります。今ある生菓子が来年同じ時期に同じ物が並ぶかは、わかりません。今ある物を今楽しんでほしい。日々、お客様の心に寄り添える和菓子を作っております」
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