リストカットは私の光
私がリストカットという行為を始めたのは、今から7年前の中学1年生の時だ。
学校での人間関係、家庭内暴力、反抗期、思春期。
きっと思春期真っ盛りの中で身体の成長と心の成長で追いつけていなかった頃だ。
周りでリストカットが流行り始め私も気になり調べた。
自分で自分の身体を傷つける自傷行為。
何故か魅力的に感じた。
カッコイイと思った。
救われると思った。

初めてカミソリを自分の肌に押し付ける。
金属部分がヒヤッとした。
最初は切る勇気がでなくて切れなかった。
今度は勇気を振り絞りカミソリを軽く引いてみた。
紙で指を切ったようなツンとした痛みだった。
プチっと血が滲んでくる。
緊張がほぐれたのと同時に、達成感や幸感、安心感を感じた。
これまでのストレスから大きく解放された気分だった。
悩み事や病んでいる事を忘れられた。
忘れられるのもすぐに終わり、また悩みや病み事を思い出す。
私は解放されたい思いで必死に自分の身体を傷つける。

それからは何かある度にリストカットに頼るようになった。
周りの大人達も友達も誰も信用できない。
私の味方なんて一人もいない。
本気でそう思ってた。
私の心は私の身体は違う。
私自身だから私の全てを見てきて知っている。
傷つける度に私の身体に相談をしている気分だった。
この痛みの数だけ私の心は晴れた。
死にたいと思っていても傷をつければもう少し生きていてもいいかって思えた。
自傷行為は決して推薦されるような事でも褒められるような事でもない。
それでも私にとってこの行為は明日を生きていく為の光。
自分を認めてあげられる為の光だった。

今でも私は自分が制御できなくて押し潰されてしまいそうな時はリストカットに頼る。
傷をつけた所で事が解決する訳でも悩みが消える訳でもないのはもう何回も学んできた。
左腕にある無数のボコボコした線を本気で後悔した事はまだない。
傷跡を見る度に私は頑張ってきたんだな。
我慢してきたんだな。
この身体に話を聞いてもらえてたんだな。
まだ生きていたいと思ったんだな。
そう考えられるようになった。
自分を少し認めてあげられるようになった。

私の身体に傷をつけるよりも信用できる相方が現れるまでもう少しこのリストカットにお世話になろうかな。
今お付き合いしている方はとても素敵で私を理解しようとしてくれていて、私には勿体ないくらいの人。
その方と生涯を共にできる為に私は今日も生きていく。
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