1日だけの恋~10月25日夜完結~
一夜限りの関係で構わないはずだった。
それでも、素性がばれて、誤解をとくために気持ちを全て話して綿貫さんが受け入れてくれた時に私は期待してしまったんだ。
もしかしたら、本当に綿貫さんの恋人になれるかもと。
過度な期待をしてしまった。
馬鹿すぎて泣けてきてしまう。
憧れの綿貫さん。
夢のような時間。
考え方を変えなきゃ。
少しの間だったけど、夢を見られた。
大好きな綿貫さんに微笑んでもらった。
抱き締めてもらってキスまでしてもらえた。
この思い出だけでも十分だ。
一方通行だったけど、綿貫さんに思いを伝えられて幸せだ。
フィアンセのいる綿貫さんに、これ以上は望めない。
かえってこれで良かったのかもしれない。
もし、あのまま綿貫さんに優しく抱かれていたら?
本当にそれを思い出だけに出来たたろうか。
きっともっと好きになっていたはず。
好きになっても付き合えないのに。
私には、近々お見合いの話がある。
私の気持ちには関係なく結婚話は進んでいく予定だから。
望んでも綿貫さんとは付き合えない。
それに、もっとも重要なこともある。
綿貫さんが私の父や祖父の会社のライバルに当たる会社の社長だから。
はじめから許される関係ではないのだ。