幼なじみのイケメン三兄弟に愛され……そして彼に恋をする
ドキドキが止まらない

太鳳くんと……。




 六月の下旬。

 晴海三兄弟から想いを告げられて二週間が経つ。

 あれから特に動きはなく。
 いつも通りの日常を過ごしている。


 のだけど。
 心の中は。
 日常とはいかなく。

 晴海三兄弟と顔を合わせれば。
 いつもよりも心臓の動きが忙しくなる。

 特に南風。
 南風は学校が一緒なだけではなくクラスも同じ。
 だから休み以外は必ず顔を合わせることになる。

 だから。
 南風がいる教室にいると。
 なんだか落ち着かなくて。

 表向きは平常心を装っている。
 けれど内心は正反対。

 そんな日々が二週間続いていると。
 さすがに疲れが出てくる。



 今日も。
 そんな感じで過ごし。

 そして放課後。


 途中まで友達と一緒に帰り。
 今は一人で歩いている。


 そのとき。
 突然、大粒の雨が降ってきた。
 その量はかなり多い。

 朝の天気予報では快晴と言っていたのに。

 それを信じて傘を持ってこなかった。
 折りたたみ傘も持ってきていない。

 天気予報が当たらなくて『もうっ』と思ったけれど。
 こういう時期は突然の雨もあり得る。

 だから折りたたみ傘すら持ってこなかったことを後悔した。


 のだけど。
 きっと今降っているのは通り雨。
 だから少しの間だけ雨宿りすれば、すぐに止む。

 もうだいぶ濡れてしまっているから遅いかもしれないけれど。
 雨宿りできる場所がないか探そうと思った。


「彩音?」


 そのとき。
 後ろから声がした。

 雨音が()じっているけれど。
 誰の声かはすぐにわかった。


 後ろを向くと。

 やっぱり。
 太鳳くんの声だった。


 太鳳くんは傘をさしている。


「彩音、びしょ濡れじゃないか。
 早く中に入って」


 中に、って……。

 それって……。
 相合傘……ということに……。

 それは……。

< 6 / 36 >

この作品をシェア

pagetop