俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。

祐世side28

夏期休暇を美月と満喫し五日ぶりに出社すると待ち構えてたかのように仁見さんが俺の横にやって来た。


「おはようございます。今日は何かありますか?」


前営一担当だった荒木さんから引継ぎを終わらせると直ぐに課担当ではなく俺の秘書のように俺に仕事の有無を聞きに来るようになった。
俺の担当する仕事は営一の中でも重要な物が多い。
疑うわけではないが彼女はうちと大口取引先のお嬢様だ。彼女がどこまで仕事内容を理解しているかは分からないが、家で何気ない会話からアルクフード社長の父親へどんな情報が流れるか分からないため任せる事はしたくない。


「今はないから他の仕事をして下さい。」


そう言って俺は自分の仕事に集中していると美月たち秘書課のデスクがある位置から大きな声が響いた。


「はっ?忘れてたって何だよ!」


声を荒げているのは営一の福崎さんだ。
そしてクレーム?いや怒られているのは仁見さん。

すっと横にやって来た天からの話だと俺と美月が休みを取っている間に頼まれた今日の接待予定の店の予約を入れ忘れていたらしい。
予定している店はうちが昔から接待をする時、特に海外からの客をもてなすためによく利用する店だった。
今回のように急遽お願いをする事もたまにあるためムリを言っても聞いてくれるところだから、まあ大丈夫だろう。


「今から連絡を入れます。」


福崎さんに謝罪もすることなく店に連絡を入れ出した仁見さんだが、会話の途中から目に余るほど傲慢な対応に代わりだした。


「だから今日四人で予約入れて下さい。いつも入れてくれますよね。有知でムリならアルクフード社長仁見で。」


はっ?

アルクの名前まで出して何考えてんだあのお嬢様は。
俺は急いで仁見さんの元まで行き受話器を取り上げた。


「神崎です。いつも花桜さんにはお世話になっているにも関わらず失礼いたしました。」


俺が店側に謝罪を始めてすぐに美月は荒木さんに連絡を取り、代替えの店を聞き出してくれているようだ。


「・・・・はい。・・・申し訳ございません。・・・・また今後もよろしくお願いします。では失礼させて頂きます。」


電話を終え美月の方を見ると既に予約の電話を入れているようだ。




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