俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。

祐世side30

朝出社すると仁見さんがいつもの様に俺の所までやって来た。
ただその様子はいつものお仕事伺いとは違い機嫌の悪さが前面にでていた。


「週末のパーティーに出席しないとはどういう事なんですか?」

「パーティー?出席しますよ?」


なるほど。
昨晩にでも父親、もしくは叔父から同伴は無くなったと聞いたんだろう。


「天と共にね。」


『じゃあ・・・』と話を続けそうになったのを遮って、あえてお前とは行かないと言う事を伝えた。


「なんで!私と行くと決まってたのに!ドレスも作ったのに!」

「誰が君と行くって決めてたんです?同伴者を決めるのは出席する俺であって他の誰でもないですよ?」

「だってお父様も叔父様もそう言ってたわ。みんなに私を紹介するって。」

「君を紹介?秘書課の中でも一番下に属す君を紹介してどうするんですか。何の利益もうまないのに。」


そう言い残し天と共に外に出た。
社長秘書でもある倉橋さんに時間を作ってもらえ、外で会って話を聞くことになっている。

社内で話を聞いても良かったが、何処から情報が洩れるか分からない。俺と天は社からそれほど離れていないビルの地下のある店に入った。

入り口には(close)の文字が掲げられている。


「倉橋さん、忙しいのに時間をとって頂いてすみません。」


薄暗い店内には既に倉橋さんの姿があった。


「いえ、かまいませんよ。私も社長に対して思う所があるので。ここなら安心して話もできます。」


奥にいるこの店のマスターらしき人物に頭を下げテーブルについた。




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