俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。
入籍後

美月side36

大晦日『ただいま』と玄関を開けるとリビングから妹の瑠香が飛び出してきた。


「お姉ちゃん!神崎先輩と結婚するって!」


私より一足先、昨日帰省して両親から私の話を聞いたらしい。
『神崎先輩がお義兄ちゃんになるなんてステキ!』『みんなに自慢する!』としきりにはしゃいでいる。明後日には家族の顔合わせがあるが大丈夫だろうか。本物の祐世を前にして興奮しすぎて粗相をしなければいいが。そんな興奮する姉の横で呆れた顔をしている弟の翔琉。


「瑠香ねえ、うるさい。それより、美月ねえ、結婚って早くない?俺、高校生になって直ぐ叔父さんになるとか?」


叔父さんになる?


「違う!ならない!」


こんな急な展開で結婚とか言ったらやっぱり・・・、妊娠を疑われるよね。
横ではしゃぎまくっていた瑠香も『えっ?』って動きが止まったので、クリスマスの日に両親に説明したことと同じ話を二人に聞かせた。二人とも仁見さん親子に対して怒りをあらわにしていたが、祐世に対しては凄く好印象を受けたようだ。
まあそれも大学三年後半から一年ちょっとの間の祐世との事を話していないからだが。もし言おうものなら今の印象とは百八十度変わって、この二人は結婚にも反対だと言いそうな感じだ。絶対に言えない。

ちょうど説明が終わり落ち着いたところで父と母が買い出しから戻ってきた。


「おかえり。人多くて大変だったんじゃない?」

「ただいま。美月早かったのね。祐世くんとデートして遅くなるかと思ってたわ。」

「明後日のこともあるし、こっちまで七菜と谷川君も一緒に帰って来たから。」


独身最後の大晦日はいつもと変わらない、夕食に年越しそばを食べ、歌合戦を見て。
日付が変わると祐世からメッセージが届いた。

【明けましておめでとう。明日、ちょっとだけ出て来れない?一緒に初詣行かない?】

二日には会えるけど、その後はバタバタして初詣に行く時間はなさそうだな。


「お母さん、明日昼からちょっと出ていい?」

「いいけど、何処へ?」

「祐世が初詣行こうって。二日以降はバタバタして行けそうもないしダメかな?」

「予定はないしいいわよ。でも夕飯までには帰って来なさいよ。」

「わかってる。ありがと。」




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