俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。

祐世side16

約束の時間に美月はちゃんと来てくれた。
部屋に入った彼女は入り口で立ち止まったまま。
ソファーに座るように言うと、座ってくれたが部屋を見渡しぼーっとしている。


「美月、ごめん。」


目の前に正座し頭を下げた。美月からは何の返事も返ってこない。
恐る恐る頭を上げると彼女の頬に涙が伝っていた。

俺はまだ許しももらっていなかったが彼女を抱きしめた。

そうしないと彼女、美月と終わってしまうような気がしたから。

プライドも羞恥心もどうだっていい、ただただあの日の事、向かいの事の説明、いや言い訳を続けた。そして最後に『引っ越してきた』と伝えると驚きやっと俯いて見れなかった顔を見ることが出来た。


「やっと顔見せてくれた。」


嬉しくて思わず額にキスをした。
やってしまった、まだ許されぬまま抱きつきしかもキスまで・・・。

咎められると思ったが美月から返ってきた言葉は全く違う、部屋を引っ越し、家具家電まで全てを処分した俺への呆れ?まあそんな事はどうでもいい、もう絶対に間違えないから。


「美月、もうあんな思いはさせない、だからこれからも一緒にいて下さい。愛してる。」


俺の言葉を聞いた美月の目からまた涙がこぼれ落ちた。


「祐世、大好き。もう、んっ!」


美月の言葉を最後まで聞く余裕がなかった。

久しぶりに感じる彼女の甘さを思いの限り味わった。



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