幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「……追悼公演」


岩橋さんの小さな声に、あたしたちは顔を上げる。


「舞台に関わる人──役者とかが亡くなった時、故人を偲んで公演をすることがあるの。本当は代役を立てたりするけど、千尋さんが嵐役を演じられるように、代役は立てずに、できる範囲で千尋さんの望みを叶えてあげられないかと思って……」


お互い、顔を見合わせる。


皆、強い意志を持った顔をしていた。


言葉はなくても、想いは同じはずだった。


「やりましょう。協力します」


たったひとつの願いを、


諦められなかった夢を、


今、その手の中に。
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