幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
本当にどうなることかと思った。


やれ怪奇現象だ、やれ部内戦争だ、随分と精神力を消費した。


腕の手形は、ワンピースが燃えたあの日、家に帰るとすっかり消えていたけど、今思い出してもゾッとする。


二度とあんな思いはごめんだ。


「まぁ解決して何よりだな」


「白川くん内心焦ってたものね」


「当たり前だろう。収集がつかなかったら、生徒会は何してるんだって、今度こそ潰されるぞ」


「そもそも馬鹿が首突っ込まなかったらこんなことにはならなりませんでしたよ」


音ゲーをしながらボソリと呟いた藤原に、あたしは目を吊り上げる。


「困ってる人がいたら助ける、これ常識!あんたほんとに血通ってんの?」


「音楽を聴いている人がいたら静かにする、これ常識。お前は夏休みの宿題でもやってろ」


「残念、ちゃんと終わらせました!」


ふふん、とあたしは笑ってみせる。


藤原はちらりとあたしを見上げて


「家庭科の調理課題は?」


「……何それ」


「夏休みのしおりに記載漏れがあったって、夏休み前の授業で言ってたけど」


「……聞いてない」


「ご愁傷さま」


ふん、と綺麗な唇が皮肉に歪む。


あたしはひくり、と口角を震わせるけど、当の本人の意識は既にゲームの中。


せっかく今回の件でほんの少しだけ、1ミリくらい見直したのに……!


やっぱりこいつ嫌いだ!


ぎりぎりと歯ぎしりをするあたしに、白川先輩は「狂犬」なんて名付けてくれやがった。


美保さんはそんなあたしたちを見て、くすくすと笑いを漏らす。


「仲良いねぇ」


「美保さん目見えてます……?」


「そんな仲のいい君たちに言いたいことがあるんだけれど」


美保さんはあっさり無視して、机に頬杖を付いた。


なんだ?と首を傾けてみれば、美保さんがにっこりと笑う。


「ずっとこのままでいようね」


すれ違ったり、憎みあったり、そんなのは悲しいから。


喧嘩しても、またここに戻れるように。


あたしたちはお互いに視線を合わせる。


「はい……!」


自然と零れた笑顔は、眩しくて優しくて、大切にしたいと、心から思った。




【終】
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青春がパチパチ弾けるソーダなら、 恋はきっと甘いキャンディー。 私はどうしようもなく 君に惹かれてしまうんだ。 君は私の憧れで、 これは小さな小さな 恋のお話。 ───────────── ピュアな委員長 羽瀬 未琴 《Mikoto Hase》 × 万年赤点不良くん 三神 帆貴 《Hodaka Mikami》 × 不本意すぎる保護者 斉藤 和香 《Waka Saitou》 × 恐るべきバカ 篠宮 仁 《Jin Shinomiya》 ───────────── 君のことが好きだと気づいた。 でも、 「三神のこと何も知らないくせに」 君はいつも、何かを隠してしまう。 「いいんちょー、俺といるとダメになるよ」 それでも、傍にいたいと思ってしまう。 君の心に触れたいと願ってしまう。 だから三神くん、 ほんの少しだけ寄り道しようよ。 ©2022 Ito Do not repost. 表紙はフリー素材をお借りしています

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