交錯白黒

ゲノム編集とは。

生き物がもつゲノムDNAを意図的に変えることである。

これを人間に適用すれば、遺伝子情報を思うままに変えられる、つまり、生まれてくる子供の容姿や性格、能力などを自分の思い通りに操作できる、とされている。

しかしこれも、人間のクローン作成と同じく、法律により禁止されているのだ。

きっと、あそこにいた自分を含む3人は親が医療的なことに関わっていたからこの単語を知っていたのだろう。

にしても、デザイナーベビーとは……。

確かに、クローンを作っているのなら、有り得ない話ではない。

それに、如月天藍を取り巻く謎も一気に解決するだろう。
 
しかし、これはそんなもので片付けていいのだろうか。

彼女がDNA鑑定を頑なに拒否したことも気になる。

筋は通っているように感じるのだが、漠然とした違和感がどうも拭えない。

「ちっ、バレてたのかよ」

以前と鍵を変えやがった。

しかも、かなり複雑になっている。

こういうところや、普段は研究者になれるほど頭がよいというのに、何故犯罪に手を染めたのか。

俺らは今まで謎をはっきりさせることばかりに焦点を当てていたが、動機をはっきりさせれば、それに乗じて謎が晴れるのではないだろうか。

この調査のついでに、親父が俺を作った理由を考えるとするか。

やはり、スタンダードに考えると……名誉が欲しかった、人類初という。

1番有力なのは臓器などの物理的なものが欲しかった。

だが、そのような感情が見られることは無かったし、そもそも関わりが少ないため、この辺りは文書などを探せば……。

待て。

記憶を漁る為に鍵穴をいじっていた手を止める。

カチャ、と金属同時が軽くぶつかる音がした。

あの日記。

「罪を償いたい」

そして、糊の跡。

もし、その糊で貼られた写真などが俺に関するものだったら?

一枚は如月で、もう一枚は俺。

最後のものは予想がつかないが、恋藍あたりではないだろうか。

そうなれば、『罪を償いたい』という言葉が所持する意味が強くなる。

つまり親父は、俺や如月を作ったことを後悔して、罪悪感を感じている。

その状況を踏まえると、親父は私利私欲の為に俺たちを作ったわけではないのではないだろうか。

例えば、瑠璃の話を参考にすると、どこかからからの強い圧で仕方がなく、とか。

クローンと知らずに言われたことをしていたら、いつの間にか罪を被せられた、ということも考えられなくはない。

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