アイツの溺愛には敵わない
5*アイツに奪われた初キス

颯己と同居することになってから、ようやく半月が経過した。


霧島先輩に告白されても、その返事を断った後も、普段と何ら変わりない颯己。


私は、よく分からない情緒不安定に陥ってたのに。


というか、あれから一週間以上経ったけど、未だに変なモヤモヤ気分に襲われることがある。


発症するキッカケは……


「今日の真浦くんもカッコ良かったね~」


「マジで目の保養になる!」


放課後の教室。


窓際で楽しそうにお喋りしている二人組の女の子にチラリと視線を向けた。


そう、まさにこういう時。


颯己の話をしている子がいると、何ともいえない違和感が胸の中で燻り始める。


昔から颯己はモテていたし、女の子たちの会話に登場するのも日常茶飯事。


だから、今まで気にしたことなんて無かったし、何か感情を抱いたことも無い。


それなのに、最近はアイツの名前が聞こえてくるだけでも反応してしまう。


今日なんか、授業で颯己が当てられた時でさえ心臓が跳ねてしまった。


私が当てられたわけでもないのに。


どうしちゃったんだろう、本当に。


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