ご縁婚  お見合い結婚のはずですが、溺愛されています?
プロローグ

 私は、幼いうちに両親を亡くしました。
 それは致し方ない、事故でした。
 亡くなってからすでに二十年以上、もうすっかり両親の記憶は薄れています。
 なにしろ、亡くした時は幼かったので……。

 そんな私ですが、その時伯父家族に預けられていたおかげで助かりました。
 その後も、伯父が引き取ってくれたので平穏無事に暮らして行くことが出来ました。

 だから私は、少しでも伯父に恩返しがしたいと医療事務等の資格や秘書検定を取り、大学を卒業してからは忙しい伯父を支えるため、伯父の秘書として働くようになりました。

 それから五年。
 二十七歳になった夏。
 伯父は唐突に言い出したのです。

 「茉奈花。ちょっと、お見合いしてみないかい?」

 それは、予測もしていない唐突な一言です。
 しかし、今までお世話になった伯父の言葉です。
 私は二つ返事で承諾したのでした。

 まさか、その相手が自分にとても縁のある相手とは全く知らずに……。
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